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放射線ががんに効く理由
放射線が、分裂がさかんな細胞をより殺しやすい点、がんが正常な細胞と比べて分裂が盛んである点、正常細胞は放射線によって受けたダメージから回復する能力を持つが、がん細胞にはこれがない点が放射線ががんに効く理由です。
しかし、癌細胞にも分裂しないものがあるので、分裂したものは殺されるが分裂しないものは生き残ることになり、がんは小さくはなるけども、けっして完全にはなくならないことになります。一方、実際にはがんは放射線で跡形もなく消えるのです。これはどうしてでしょうか。
これはがんの発生にもかかわります。がんは自分の細胞からできますが、身体に備わった免疫から見ればやはり異物ですので、これを取り除こうとします。実際に、私たちの身体の中ではがん細胞が発生しては、免疫のおかげで消えていっています。がん細胞が発生しても数が少ないうちは、白血球などの免疫を担う細胞がそれを食い殺してしまうのです。たまたま、がん細胞の数が増えて、免疫細胞の能力ではどうしようもなくなったとき、ようやくいわゆる細胞の塊としての“がん”となるのです。
このことは、放射線でがんの細胞が減っていく場合にも当てはまります。治療前には、がん細胞の数が多くて、免疫細胞は歯が立ちません。しかし、放射線によって癌細胞の数がだんだん減ってくると、今度は免疫細胞の方が有利になって、残ったがん細胞ががんを治せるところまで手伝っているに過ぎないと言っても良いかもしれません。このことは抗がん剤治療法にもいえることです。
ですから、がんの治療では患者さんの免疫能力がとても大切です。(以下、省略)
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『放射線をかけると言われたら 新版』(青木幸昌、中川恵一著 三省堂 2000)p174-175より一部を引用しました
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