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猫のリンパ腫の予後

1年前の今日、動物医療センター(大学病院)をはじめて受診した。翌週から放射線治療が始まった。それから1ヶ月間、次の治療日をつつがなく迎えられるように家族中で緊張して(きっと、ももの含めて)過ごした。年賀状の準備もすっかり忘れて…

次の資料によると、「FeLV陰性の鼻腔リンパ腫症例の生存期間の中央値は1年半に達し,この型は予後良好の病型と言える」のだという。ちなみに、ももはFeLV陰性。

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現在,最も成績の良い治療プロトコールはすべてCHOPプロトコール*を基本にしてL-アスパラギナーゼを加えた多剤併用化学療法である。それぞれの大学等でいくつかの異なるプロトコールが実施されているが,いずれにおいても,完全寛解率50~70%,生存期間の中央値4~7ヶ月,といったほぼ同様の成績が得られている。生存期間は,全体的には犬の場合よりも短いが,完全寛解が得られた猫の30~35% は1年以上寛解した状態で生存することが知られている。また,我々の経験では,治療を中止した後,3年以上にわたって再発なく生存し,事実上治癒したようにみえる猫のリンパ腫症例が存在する。

猫のリンパ腫に関しては,犬のリンパ腫ほど予後と関連する因子について研究されていないが,いくつかの因子と予後との関連が知られている。FeLV陽性リンパ腫とFeLV陰性リンパ腫を比較した場合,FeLV陽性リンパ腫の方が明らかに予後が悪い。この差は,FeLV感染に伴う骨髄機能不全や免疫不全が予後を悪くしていることによるものと考えられる。また,病型による予後の違いについても知られており,生存期間の中央値は,消化管型で7~10ヶ月,縦隔型で2~3ヶ月,腎臓リンパ腫で3~6ヶ月と報告されている。

また,猫の鼻腔リンパ腫の多くはFeLV陰性であり,この型においては放射線療法がきわめて有効である。放射線療法および化学療法のいずれを行った場合にも,FeLV陰性の鼻腔リンパ腫症例の生存期間の中央値は1年半に達し,この型は予後良好の病型と言える。臨床病期の比較に関しては,ステージIの症例はステージIII, IV, Vの症例よりも生存期間が有意に長いことが知られている。また寛解導入化学療法によってComplete response(CR)が得られた症例では,Partial response(PR)およびProgressive disease(PD)の症例よりも生存期間が有意に長い。

* CHOPプロトコール:シクロフォスファミド(C)+ハイドロキシダウノルビシン(H)(アドリアマイシン)+オンコビン(O)+プレドニゾン(P)

※出典:犬と猫のリンパ腫治療マニュアル -その基本から最新の動向まで-(東京大学大学院農学生命科学研究科・獣医学専攻・獣医内科学教室 辻本 元先生)より一部を引用しました

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リンパ腫の管理

もし、自分の猫が余命宣告をされたら、いま目の前にいるその猫の個別のケースに対する主治医の先生の考えや見通しをある程度示してほしいと思う。この段階になると、飼い主的には一般論ではどうも納得がいかない。同じ病気のほとんどの症例に当てはまる症状や先行きに関する説明だと、余計に不安が残る。

ももの場合、さいわいなことに誠意のある回答やアドバイスを得ることができた。いつも、主治医の先生を質問攻めにしていたとはいえ…

実際に腫瘍の治療をしている獣医師の先生が、リンパ腫について包括的で平易にしかも個別の症例や抗がん剤についての説明をされている。

(*記事内の小見出し(太字)は当サイト管理人によるものです。)

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リンパ腫は、その発生部位によって、全身のリンパ腺が大きく腫れてくる「多中心型リンパ腫」、皮膚病変として現れてくる「皮膚型リンパ腫」、胃や腸管に出てくる「消化管型リンパ腫」、胸の縦隔という部分の「縦隔型リンパ腫」、腎臓や眼、鼻咽頭、神経に出来る「節外型リンパ腫」などの分類がある。

また、その細胞の分類による病理組織学的分類とか、免疫表現型分類とかいろいろな分類法があって、それぞれ予後(臨床上の将来的見通し)に影響したり、なかなか学問的には難しい点もあるのだが、細かく書き始めると切りがないのでなるべく簡単に行こう。

犬にもっとも多い「多中心型リンパ腫」
普通の動物病院で比較的容易に診断出来るリンパ腫は、何と言っても「多中心型リンパ腫」である。 このタイプは犬では最も一般的なリンパ腫であるし誰の目でも非常に判りやすい。 何せ、全身のリンパ節が大きく腫れてくるのだから、臨床症状もはっきりしているし、腫れたリンパ節を細い目の注射針で突いて細胞を採取して顕微鏡で観察すれば、少し慣れれば、普通の黒っぽい小さなリンパ球とは異なる大きな豆大福のような模様のリンパ芽球が主体で、中には細胞分裂像を示すものも結構あったりする特有の組織像が観察されるのだ。

皮膚型リンパ腫や、腸管型リンパ腫などは診断がつくまでにかなりてこずることが多い。 なんだか判らないが治療に反応しない皮膚炎だとか、嘔吐下痢や食欲不振だとかがだらだら続くのは結構要注意なのである。

犬と猫ではリンパ腫の出方も少し違う点がある。 猫にはFeLV(猫白血病ウィルス)という厄介なウィルスが存在して、特に若い猫のリンパ腫はもっぱらこれが原因であることが多いし、猫の場合は犬と違って全身性リンパ節障害よりも内臓機能の異常が出現する割合が高いようである。

リンパ腫の診断方法も基本的には他の腫瘍と同じく細胞診であるとか病理組織診断という腫瘍細胞の検査によって行なわれる。 私の場合、病理学的な知識にはあまり自信がないので、なるべく検査センターの病理の専門の先生に細胞や組織を送って、文書で診断名をはっきりさせてから治療にとりかかるよう心掛けている。

完全寛解
リンパ腫の治療は、基本的には抗癌剤を注射や内服で使用する化学療法という方法を取るのだが、治療に対する反応は発生部位や病理組織学的分類などでさまざまなようである。 しかし、多中心型リンパ腫の場合化学療法にはかなり良好に反応を示す症例が多く、臨床症状が全くなくなって、完全に治ったかとまで思われるくらいになったいわゆる「完全寛解」という状態が、症例によっては半年から9ヶ月、長い例では2年以上も続くことがある。誤解してはいけないのだが、この「完全寛解」という状態は、決して完全に治癒して再発しないということではない。

抗癌剤の投与によって、リンパの腫瘍細胞の99パーセントが死ぬとするならば、毎週の抗癌剤投与によって毎回99パーセントの腫瘍細胞が死んでいくので、治療を続けることにより、腫瘍細胞の数は限りなくゼロに近づいていくのである。 しかし、決してゼロそのものにはならないのだ。そして、毎週の投薬で叩き続けていても、いつしか生き残った腫瘍細胞は、その細胞膜上に「P糖蛋白」という細胞に対する毒物を細胞外に排出するポンプのような器官をたくさん備えるという薬剤耐性を獲得して、再び増殖を始めるのである。

リンパの腫瘍細胞が薬剤に対する耐性を獲得すると、これを叩くのはなかなか困難になり、いったんはやっつけるのに成功しても、それによって得られた臨床的に良好な寛解期間は最初の寛解期間よりも著しく短いものに終わることがほとんどである。

寛解期間の評価
そういうわけで、リンパ腫の治療は結局のところ死に至るまでの期間を延長させるというものでしかないのかも知れない。 しかし、多中心型リンパ腫で、症例によっては半年から9ヶ月、長いものでは2年以上という非常に元気でまるで病気ではないかのごとき素晴らしい期間をどのように評価するのかで、この治療の評価は大きく分かれることであろう。

あるクライアントは、数ヶ月くらいの寛解期間であるのならばそれはぬか喜びでしかないので、多額の治療費を費やす価値はないと治療しない方を選択されるし、またあるクライアントは、たとえ数ヶ月でも健康上非常に良い期間が作れるのであれば、それはそれで価値あることとして、その間に動物との思い出を積極的に作るのだと言って治療を選択される。

リンパ腫の治療に対する評価は、クライアントの生きる姿勢というか死生観というものに大きく左右されるように感じているので、治療をするしないのどちらを選択されてもそれはその人の人生哲学の現われであると解釈するようにしている。

結局のところ獣医の私としては、クライアントに対して、自分が診察して収集した臨床上の知見をなるべく正確にお伝えして、それから先はクライアントに判断していただくしかないのである。

抗癌剤療法
なお、抗癌剤療法で気になるのが、薬剤の副作用の問題である。 普通、薬というものは量が少ないと生体に作用を及ぼさず、ある量から望ましい効果が出始めて、量を増やしていくと今度は有害な作用が出てくるものである。 抗癌剤という範疇の薬剤の特徴として、この有効量と中毒量の範囲が狭いということが挙げられる。

従って、抗癌剤の投与量を決定するのに、体重あたりでなく体表面積あたりいくらという計算をすることが多い。 薬剤は身体の細胞の表面に作用するので、身体の長さに対して三乗倍で増加していく体重よりも、実際の体表面積の方が薬剤の投与量の決定により正確な指標となり得るのだ。

抗癌剤に対する動物の反応であるが、多くの犬猫は言われるほどそんなにひどい副作用は出ないものだ。 ただ、中には嘔吐であるとか急な衰弱、下痢、食欲不振などの副作用が現われる個体もあるのであまりにも楽観的に考え過ぎるのも落とし穴に落ちることになりかねない。副作用に対しては、悲観的にも楽観的にもならず、油断せずという感じで行きたいところである。

リンパ腫に限らず、腫瘍性疾患はその対応に難しいところが多々あるのだが、自分としてはなるべく逃げることをせずに、クライアントがやる気であるのならば積極的に立ち向かいたいと思うのである。

※リンパ腫の管理 グリーンピース動物病院HPより一部を引用

猫の鼻腔節外型リンパ腫

鼻腔節外型リンパ腫が、化学療法により消失したという猫の記事。6ヶ月の化学療法で寛解になり、その後も元気にしているという。ほんとうによかった。

*記事内には、次の事柄が書かれている。
鼻腔腫瘍は手術をしても再発が多く、抗がん剤治療の反応も悪い難治性の疾患である
リンパ腫の場合には治療の可能性が拡がる
猫の鼻腔が腫脹した場合、約半数は節外型のリンパ腫であったとする報告もある
・節外型リンパ腫に対する治療は局所に照射する放射線療法が効果的であったとする報告がある
・猫の鼻腔節外型リンパ腫は高齢の猫に多く発生する
猫白血病ウイルス陰性で全身状態が良好の場合予後が良いといわれる

獣医師の先生が書かれたブログ記事の紹介です。

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猫の鼻腔に発生するリンパ腫

数週間の経過で猫の鼻が腫れ上がってきました。触ると骨のように硬い感触があります。猫本人はくしゃみが多くなったものの元気です。鼻腔腫瘍は手術をしても再発が多く、抗がん剤治療の反応も悪い難治性の疾患ですが、リンパ腫だった場合には治療の可能性が拡がります。猫の鼻腔が腫脹した場合、約半数は節外型のリンパ腫であったとする報告もあります。

この症例は針吸引細胞診を含む各種検査により鼻腔に発生した節外型リンパ腫と診断しました。このタイプのリンパ腫に対する治療は局所に照射する放射線療法が効果的であったとする報告があります。この症例はオーナーとの話し合いの結果、抗がん剤治療を行うことにしました。

治療開始から1週間後、腫瘤は消失し、元の顔に戻りました。この症例は6ヶ月間化学療法を続け治療を終了しましたが、その後も再燃傾向は認められず元気にしています。猫の鼻腔節外型リンパ腫は高齢の猫に多く発生し、猫白血病ウイルス陰性で全身状態が良好の場合予後が良いといわれています。鼻腔腫瘍の確定診断には病理組織検査が必要ですが、まずは針生検を行うと良いでしょう。リンパ腫のような特徴的な細胞が採取できることがあります。

※ペットの「がん」-レオどうぶつ病院腫瘍科-猫の鼻腔に発生するリンパ腫より引用

寛解 -ももの場合

寛解について、主治医の先生に確認したこと。

寛解とは:
肉眼上あるいはX線やCTなどの画像上明らかな腫瘍病変が見られない場合を指す。

・鼻腔内リンパ腫
臨床症状から寛解の可能性は高いと思われる。

・乳腺癌
肉眼上そして胸部・腹部のX線検査上、腫瘍の存在が見られないため寛解と言える。

化学療法を始める以前に明らかな腫瘍が確認できていないためその時点で寛解と言える。化学療法を実施している意義は、その期間を少しでも長引かせようというものである。

寛解の期間の捉え方:
期間についての考え方はさまざま。1週間でも病変が確認できなければ寛解とするものもあるし、1ヶ月間とするものもあり。

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ほんとうは3月頃、治療後のリンパ腫の病巣の変化を確認するためにCTを撮る予定だった。しかし実際は今年に入り乳腺切除(1月下旬)、抗がん剤治療の検討や準備(2月)と開始(3月~)により、いつのまにか季節はめぐり5月となる。

最初に見たCTの白い影は、その後書籍などで見る鼻腔腫瘍のどの画像よりも面積が大きかった。現在、ふだんのももを見ていると、癌が体の中にあることが信じられないと思うことがたびたびある。それくらい活発に動き、生命エネルギーに満ちているように見える。

寛解でほんとうによかった。

鼻腔内リンパ腫 -グレード

主治医の先生によると、もものリンパ腫は昨年12月時点で「グレード3」であったという。すでに、若干の周囲の組織へ浸潤が見られかつ前頭洞内にも存在があったためグレード3と診断。

グレードの説明:
1. 片側の鼻腔内にのみ腫瘍が存在する場合
2. 片側鼻腔内かつその側の鼻の骨が融解している場合および両側鼻腔内に腫瘍が存在(鼻の骨が融解を含む)
3. 腫瘍が鼻の周囲の組織へ浸潤している場合あるいは前頭洞内に存在する場合

予後に関しては、放射線治療に対する反応の良さと関連がありうるという。反応が良い猫は比較的延命している場合があるとのこと。

昨年、CTの画像と治療計画に用いる画像を取り込んだコンピュータ画像(プリントアウト)を見せてていただいた時、ももの小さな顔のほとんどが白く写っていたのを記憶している。放射線に反応がいいのは、未分化度が高く(分裂スピードが速い)、悪性度も高い癌だといわれるが、悪性度大=寛解とは無縁ということではないようだ。

この辺はもう素人にとって、お手上げ状態。せめて獣医学分野の専門雑誌等が公立図書館に所蔵され、いつでも動物の病気に関するある程度踏み込んだ内容にアクセスができ、正確な知識が得られるようになるといいと思う。

リンパ腫とは

リンパ腫は最も一般的な造血系の腫瘍です。急性の経過をとることが多く、無処置の場合症状を認めてから1ヶ月程度で末期まで進行してしまう症例があります。犬ではゴールデン・レトリバー、ボクサー、バセット・ハウンドなど好発する品種がありますし、猫の場合は猫白血病感染の有無が治療効果を左右します。

タイプは4種
病状から4タイプに分類されます。
・体表の主要リンパ節が腫瘍化する「多中心型」。全体の80%を占めます。
・肺の縦隔(じゅうかく)と呼ばれる部位が腫瘍化する「縦隔型」は5%。
・消化器に腫瘍が形成される「消化器型」は5~7%程度あります。
・残りの8~10%のリンパ腫病変は全身のあらゆる場所に発現します。


ペット大好き!> 動物医療の現場から > 癌についての正しい知識と対応VOL.4 「リンパ腫」について(回答者:若林救急動物病院院長 千葉 剛先生)より一部を引用しました

猫のリンパ腫=悪性の腫瘍

リンパ腫は、悪性リンパ腫またはリンパ肉腫とも呼ばれ「○○腫」と言う名称ですが悪性の腫瘍です。リンパ球が骨髄以外の色々な体の部分で腫瘍性に増殖する疾患です。骨髄内でリンパ球が腫瘍性増殖を行っている場合には「リンパ球性白血病」と呼び、別の腫瘍に分類されます。

猫のリンパ腫のプロフィールによると、造血系腫瘍は猫の腫瘍全体の約1/3を占めるため、リンパ系腫瘍は200/10万頭程度の発生率になるという報告があります。

また、リンパ腫に罹患した猫の30~80%がFeLV陽性であり、FeLV陽性の若齢の猫は、縦隔型リンパ腫または白血病を発症する傾向があります。FIV陽性の場合にも、リンパ腫発生のリスクが5倍に増加するというデータもあり、これらのウイルス感染は猫のリンパ腫にとって非常に重要な高リスク条件となっています。

猫のリンパ腫のプロフィール
発生率: 造血系腫瘍全体の50~90%
発生年齢: 平均2~6歳
高リスク:
条件 FeLV(猫白血病ウイルス)やFIV(猫免疫不全ウイルス)に感染している猫


※児島どうぶつ病院HP > 猫の乳腺腫瘍 より引用しました

腫瘍になる(リンパ腫)

猫や犬の体を守るリンパ器官に存在し、血中にもふだんから出現して免疫をつかさどるリンパ球が悪性腫瘍になる病気がリンパ腫だ。猫は、犬の十倍も、この病気にかかる危険性がある。それは、猫白血病ウイルスのせいである。

・ウイルスや細菌から体を守るリンパ球が悪性腫瘍になると…
猫、犬、人など哺乳動物の体を外部のウイルスや細菌などの「敵=異物」から守る重要な免疫の役割を担っているのが、白血球の一種「リンパ球」である。リンパ器官には、リンパ節(腺)などのリンパ器管と、脾臓や肝臓、腸管などにふくまれるリンパ組織がある。言うまでもなく、カゼをひくと、リンパ節がコリコリにはれたりするのは、その場所で、リンパ球が体内に侵入したカゼのウイルスと闘っているためだ。

その重要な「リンパ球」の遺伝子が何らかの要因で傷つき、細胞が腫瘍化して、リンパ器官内で固まりをつくって分化・増殖する病気が「リンパ腫」あるいは「リンパ肉腫」という悪性腫瘍、つまり、がんの一つである。リンパ腫は猫に多いがんで、十万頭につき、年間二百頭ほどが発症するとみられている。

もっとも、犬の場合も、十万頭につき、年間二十頭(十歳以上なら、年間八十頭)ぐらいが発症し、犬の腫瘍の七~二十四%を占めるといわれるから、決して少なくない。猫が犬の十倍も発症例が多いのは、猫白血病ウイルス(FeLV)との関連性がきわめて高いためである。

・猫に多い胸腺型リンパ腫と消化器型リンパ腫、
犬に多い多中心型リンパ腫

猫がリンパ腫にかかるピークは二つある。その一つが、二、三歳という若い時期、もう一つが、五、六歳以降の老齢期である。若い時期に発症するリンパ腫のほとんどが猫白血病ウイルスによると考えられている。

若い時期のリンパ腫の特徴は、心臓の前方にある胸腺というリンパ器官に発症するのが多いことだ(これを「胸腺型リンパ腫」という)。胸腺が腫瘍化して大きくはれあがると、胸のなかに水がたまり(胸水)、肺を圧迫して、呼吸困難になる。その場合はまず「胸水」を抜いて呼吸機能を回復させ、同時にそれを検査して、リンパ系の悪性腫瘍かどうかチェックする。なお、胸水の要因には、ほかに猫伝染性腹膜炎(FIP)や「膿胸」という、胸に膿のたまる病気がある。
 
老齢期のリンパ腫の特徴は、腸などの消化器官に発症するのが多いことだ(これを「消化器型リンパ腫」という)。こちらも、やはり、その猫が幼少期に猫白血病ウイルスに感染したケースや猫免疫不全型ウイルスに現在も感染しているケースがある。それ以外に、たとえば食餌アレルギーなどで、リンパ球が腸管で過剰に働き腸炎をおこした猫が後年、炎症部位にリンパ腫を発症させることもある。
 
腸管にリンパ腫ができると、腸閉塞を併発することもあるので、要注意である。レントゲン検査などで患部を特定し、すぐに開腹手術して、まず、その腫瘍を取り除くことが先決だ。一方、犬の場合は、首の下や腋(わき)の下、鼠径部(そけいぶ=後足の付け根)など、体表部のリンパ節にリンパ腫ができることが多い(これを「多中心型リンパ腫」という)。このケースなら、ふだんから飼い主が愛犬のケアをよくしていれば、早期発見できる可能性が高い。

・リンパ腫に効果的な化学療法
リンパ腫は、そのまま放置すれば、わずか一、二カ月で死亡する悪性腫瘍である。しかし、適切な化学療法をおこなえば、リンパ腫に効果的で、かなりの期間、生き延びる可能性がある。化学療法とは、いわゆる「抗がん剤」の投与である。具体的な治療法は、それぞれの症状と飼い主の希望にしたがって組み立てられるため、愛猫、愛犬が、もしリンパ腫と診断されれば、希望を失わず、動物病院でじっくりと相談することが大切だ。

一般的な化学療法の経過を記すと、まず、最初、抗がん剤の投与を受け、二、三日、点滴を受けて、薬で死ぬがん細胞から出る異物を体外に排泄。容態が改善したら退院する。以後、週に一度は通院して、血液検査などで副作用の有無、状態をチェックして、つねに副作用を最小限に保ちながら、抗がん剤を投与する。

そのような治療を続け、リンパ腫の固まりが消え、がん細胞の存在が認められない「寛解(かんかい)」の状態になると、「寛解」用の化学療法をおこなっていく。「寛解」とは、わずかのがん細胞が体内にひそんでいる状態で、それに合わせた抗がん剤を一定間隔で投与しつづける必要がある。このように、適切な治療法をおこなえば、生存期間が六カ月延び、さらに六カ月延びて、結果的に愛猫や愛犬が一年、一年半、二年と生き長らえる可能性が高いといえる。

先に述べたように、猫がリンパ腫になる要因の多くが、幼少期に猫白血病ウイルスに感染したためである。生後すぐ、感染した母猫になめられたりしてこの病気に感染した子猫の場合、ほとんど感染・発症するが、離乳期を過ぎると、子猫の抵抗力も強くなり、感染しても、自然治癒する可能性が高くなる(離乳期以降の自然治癒率は約五十%、生後一年以上では約九十%)。

しかし幼少期に猫白血病ウイルスに感染するとウイルスは居すわり、リンパ球の遺伝子異常がおこって、二、三歳でリンパ腫を発症しがちなのである。また、若い時期に発症しなくても、免疫力が低下し、遺伝子異常のおこりやすい老齢期に発症する可能性もある。


※犬猫病気百科 > ねこの病気 > 腫瘍になる(2002/3/15 赤坂動物病院医療ディレクター/日本臨床獣医学フォーラム代表 石田 卓夫先生 監修) より引用しました

飼い主の体験とは

リンパ腫は、放射線が効くがんの筆頭に挙げられています。ももの場合、さいわいなことに治療直後から、家族としては目をみなるような変化をまじかに見る機会に恵まれました。腫瘍が鼻腔を塞ぐように病巣を形成していたため、鼻のとおりが良くなり呼吸が楽にできるようになったからです。何週間もの間、呼吸するたびに「ギュー、ギュー」と呼吸音がし、いかにも眠りが浅いことが見てとれました。それが、「スー、スー」寝息をたてて、気持ちよさそうに眠るようになりました。

それがたとえ、いち飼い主としての経験に基づくものだとしても、放射線治療や全身麻酔が動物に与える影響について安易に言い及んでいいものか、ちょっと立ち止まって考えてみました。なぜかというと、身の回りのほんの何人かの友人・同僚と話しただけでも、ももの場合と正反対な経験を持つ犬や猫の飼い主が、決して少なくないことがわかったからです(たとえば、全身麻酔に弱い長毛種の猫・11歳、鼻腔腫瘍(悪性)で放射線治療を途中で中断するほど健康状態が低下、治療後まもなく亡くなった室内犬・12歳)。

動物は、ひとの場合よりもずっと個体差が大きいような気がします。また、腫瘍の部位、診断名が同一でも、体力のない犬・猫、老齢な犬・猫、病巣の範囲や進行度の差異により、治療結果の現れ方はさまざまなようです。主治医の先生が治療開始後の健康状態の維持について、ことのほか強調しておられました。たいへん慎重に説明してくださったのだと思います。ももは、幸運にも体力があり、骨太な猫だったのでしょう…。


(ご参考)
「麻酔大丈夫ですか?」という問いへの答え
・正確な医療情報の検索方法

ネコの鼻腔腫瘍

*ちょっと古い記事(1995年9月)ですが、引用します。

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ネコの鼻腔腫瘍は犬よりも少ない。しかし悪性リンパ腫の割合が高く、その場合、初期症状は鼻汁やくしゃみで鼻血を伴わないことが多いために、発見が遅れがちとなる。


ネコに多い悪性リンパ腫

先に犬の鼻腔腫瘍は、シェルティなど長頭種犬にめだつと述べたが、ネコの場合、これまでの症例で言えば、そのほとんどが日本ネコで、特定の外来種ネコとの関連はない。年齢的には、やはり犬と同じく十歳前後がピークだが、年齢分布は、四歳から十六歳と幅広い。もっとも、ことにネコは外国でも鼻腔腫瘍のデータが少なく、研究はほとんど進展していない。

ネコの鼻腔腫瘍の特徴は、悪性リンパ腫にかかる割合がたいへん多いことである。悪性リンパ腫は、動物の免疫機能をつかさどるリンパ系のリンパ球ががん化したもので、ネコがなりやすい腫瘍のひとつである。すこし横道にそれるが、ネコの悪性リンパ腫の原因のひとつに、ネコ白血病ウイルスがあげられる。このウイルスは、感染したネコの唾液などに潜み、母子感染やネコ同士のケンカなどの咬き傷などによってネコの体内に入り、骨髄に感染。赤血球や白血球、リンパ球などの造血作用に悪影響をおよぼす(もっとも、ネコ白血病ウイルスと鼻腔腫瘍との関連性は小さい)。
 
とにかく、鼻腔腫瘍で悪性リンパ腫になると、鼻汁やくしゃみは出るが、鼻血は出ないことが多い。それだけ、飼い主が察知できる危険信号が少ないわけだ。もっとも、リンパ腫なら、抗がん剤を投与する化学治療や放射線治療が効果的なケースが多い。


放射線治療と副作用

もちろん、副作用には十分注意が必要だ。たとえば、眼球などは放射線の感受性が高く、白内障になりやすい。さらに皮膚が変色したり、脱毛したり、照射量が多いと、皮膚に潰瘍ができることもある。また、放射線を照射すると、口内の粘膜などが荒れてくる。普通なら、粘膜の表面が荒れても、下部の細胞が新しく作られてくるので、問題はない。しかし放射線は細胞の分裂を抑えるために(そのため、がん組織も縮小する)、傷を受けた粘膜が再生できず、深い潰瘍ができやすくなる。
 
言うまでもないが、副作用を最小限に抑えながら、放射線治療や化学治療を行うことが大切である。問題点をもうひとつつけ加えれば、現在、日本の獣医療分野では、ある程度の大学病院か一部の動物病院以外では放射線治療を受けることができないことだ。
 
転移については、悪性リンパ腫が鼻腔にとどまっていることもあるが、ときには腎臓や脾臓に転移しているケースもある。食欲がない、元気がないなどの全身的な症状があるときは要注意である。鼻腔腫瘍で気をつけることは、脳や眼、口などへの浸潤である。眼球が圧迫されて、変形したり、飛び出したり。口腔に腫瘍が出てきて、食べられなくなることもある。脳に浸潤すれば、先はそれほど長くない。


病気への知識、関心を高めながら、健康的で心楽しいペットライフをめざす

浸潤があれば外科手術は困難で、抗がん剤や放射線治療に頼らざるを得ない。しかしながら、これらの治療をもってしても、腫瘍が治ることは多くない。となれば、あとは少しでも苦痛を抑えながら、残された時間をいかに生きるか、ということになる。一日いちにちを大事に、穏やかに愛犬、愛猫とともに過ごす。それが飼い主の責務といえるだろう。とにかく、現在、犬、ネコともに鼻腔腫瘍の症例は増えているが、がん(悪性腫瘍)症例全体のなかでは少数である。
 
基本的に、犬やネコでも人間でも、寿命が伸びてゆけば、免疫も細胞の新陳代謝も弱り、遺伝子の異常が蓄積したがん細胞が生まれ、育ちやすくなる。また、発がん因子も、水や空気、食べ物から、酒、タバコ、体内のホルモン異常、化学物質、生活習慣など、数えあげればきりがない。生活管理のしやすい犬やネコといえども、複雑な人間社会の一員として暮らす以上、発がん因子をすべてシャットアウトして生きることは不可能だ。
 
とすれば、愛犬、愛猫の健康のために、適正な食餌、適度の運動と休息という基本的な生活習慣を守り、飼い主家族とのふれあいを高めて、心身ともに快適な暮らしを高めることを心がけることが何よりも大切な生き方にちがいない。明るく、前向きに心楽しく生きている人は、免疫力も高く、がんなどにかかりにくいともいわれている。むやみにがんの恐怖におびえないこと。
 
しかし、がん、悪性腫瘍への知識や関心がないと、万一、発症した場合、発見が遅れがちだ。繰り返すが、愛犬、愛猫の鼻腔腫瘍の症状である鼻血や鼻汁、くしゃみなどに気づいても、飼い主と獣医師が、鼻腔腫瘍への疑いをまったく持たなければ、くわしい検査もせず、鼻炎などの二次感染治療だけで済ましてしまう可能性が高いのである。

*この記事は、1995年9月15日発行のものです

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犬猫病気百科 ネコの鼻腔腫瘍(北海道大学大学院 獣医学研究科講師 廉澤 剛先生 監修)より引用しました


この記事から、次のことがわかります。

ネコの鼻腔腫瘍の特徴
・悪性リンパ腫の割合が高い
・猫がなりやすい病気のひとつ。
初期症状
・鼻汁やくしゃみ
・鼻血を伴わないことが多いため、発見が遅れがちとなる。
悪性リンパ腫になりやすい猫(※1995年当時の症例から)
・種類:日本猫
・年齢:10歳前後がピーク
・発症する年齢分布:4-16歳
鼻腔腫瘍の症例数
・がん(悪性腫瘍)は症例全体の中では少数(※1995年当時の症例から)
転移する可能性のある部位
・腎臓、脾臓 *鼻腔にとどまるケースもある
転移の兆候
・食欲がない、元気がないなどの全身的な症状があるときは要注意
脳、眼、口へ浸潤した場合
・眼球を圧迫、変形等。食餌が摂れない場合もある
・脳に浸潤すると余命はわずか
猫の健康を守るためには?
・適正な食餌、適度な運動と休息、家族との交流
・免疫力を高める。
発症を早期に発見するには?
・がん、悪性腫瘍への知識や関心が必要
・症状が現れたときに、鼻腔腫瘍への疑いを持てる知識


いまにして思うと、ももに当てはまる項目がいくつもあります。すべての猫の飼い主さんに知っていてほしい内容です。

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プロフィール

ロングテイル

Author:ロングテイル
名前:もも
1997年生まれ
毛色:茶色
好きなこと:
玄関脇のかさぎから空を眺めること、柿の木に登ること。

*このブログについて
(by ロングテイル)
物心ついた時から猫が大好きで、猫とともに暮らして30年以上。
2006年秋、もも(当時9歳)が鼻腔内リンパ腫と乳腺癌を同時に発症。
猫の病気や食事のあり方についての理解不足を反省し、このブログを作りました。特に、鼻腔腫瘍に対する放射線治療、乳腺切除手術と回復の過程について書いています。そのほかに、治療後の様子や日々感じたこと、病気について調べたことなどを書きとめていきます。

*主な内容は次のとおりです。
 ・鼻腔内リンパ腫の治療と予後
 ・乳腺切除手術後の回復過程
 ・がんの猫の食餌管理
 ・猫の乳がん
 ・おすすめの猫本
 ・ももの食事

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